SIer・受託開発のチームが、UX設計力とAI設計力の両輪を、架空の改修案件を依頼メールから最終提案まで一周しながら身につける、全4回×2時間の実践講座です。
改修依頼を正確に作ることは、何も間違っていません。ただ、AIで実装が速くなったいま、“作る速さ” そのものでは差がつきにくくなりました。差がつくのは、その手前の「何を作るべきか」です。
みんながAIで速く作れる時代に、同じものをより安く速く作れる相手が現れた瞬間、置き換えられてしまいます。
現場の困りごとは部署を経由するうちに「ステータスを追加して」の一行へ圧縮されます。文面どおり作っても、元の困りごとは半分も解けません。
依頼を遡って本質課題を見つけ、動くものを添えて「こちらが効きませんか」と返せたら、その仕事は価格比較から一歩抜け出せます。
情シスからの1通の見積依頼メールを起点に、課題発見から動くプロトタイプ・提案までを8時間で一周します。着地は「ご依頼の列を追加しました」ではなく、根拠と動くものつきの “よりよい提案” です。
受講者は「ある人物になりきって最後まで演じ続ける」のではなく、ひとつの問題を担当する一人のFDEとして動きます。遠い職種を無理に演じる必要はありません。まず全員が同じ “ダメ画面” を触り、自分の担当問題の当事者になりきって、詰まりを体で見つけます。

使う人になりきって、状況・制約を自分の体で再現するリサーチ手法です(かめちの pmconf2024 登壇)。知識がないまま聞くインタビューは “御用聞き” になりがち。なりきるのは調べるあいだだけで、気づきを持って設計に戻る——この往復が、現場に出て作るFDEの動き方にそのまま重なります。
その業務を、人に話せるレベルまで下調べする。
働く様子を隣で見て、表情や仕草まで目に焼き付ける。
同じ条件で自分がやってみて、喜怒哀楽ごと当事者になる。
気づきをまとめ、その道のプロにレビューしてもらう。
体で見つけた困りごとは、まだ思いつきです。体感(コスプレUX)× データ(業務データパック)× 現場の声(講師が演じるヒアリング)の3つが揃った課題だけを、次の要件化へ進めます。

課題を、シーン・行動・体験・計測(KPI)の4層に整理するフレームです(かめちの pmconf2025 登壇)。「どのシーンの、どの体験を、どの数値で良くするか」まで言語化でき、議論の土台が “意見” から “構造” に変わります。ここでチームは「今回はここを解く」とスコープを1つに決めます。

AI設計力とは、AIに丸投げする力ではありません。何を・どう作らせ、出てきたものをどう見極め、再現できる形に残すか──その段取りを設計する力です。前半で根拠つきに決めた本質課題を、ここで「要件 → 構成 → 動くプロトタイプ」の順に形にしていきます。
これまでの要件定義は、書き切ってから渡す一方通行で、動くものを見るのは数週間後でした。AIと組むとここが逆転します。Markdownの短い要件をAIが数分で動くHTMLにするので、書く→動かす→触る→直す、をその場で何周も回せます。人間が書くのは「誰が・何のために・何ができて・データはどこから」という骨格です。
作り始める前に、システム構成もAIと一緒に考えます。AIに案を複数出させ、既存資産を活かせるか・段階的に導入できるか・運用の負荷はどうかという評価軸で並べて比較し、選んだ理由を自分の言葉で説明できるようにします。生成はAIに任せても、選ぶ責任は人間が持つ。ここがAI設計力の背骨です。
HTML設計は、Excelで作る分厚い画面仕様書の代わりに、ブラウザで開けば動くHTMLそのものを「設計書」として磨いていく手法です。仕様を文章で読んで握る合意が、画面を実際に触って握る合意に変わるので、認識のずれが納品後ではなく設計の途中で見つかります。
なぜ、わざわざHTMLなのか。理由は、この4つに集約されます。
特別な環境やインストールは不要。顧客も現場も情シスも、ブラウザで開いて触れます。
HTML/CSSはAIが正確に生成しやすく、要件から数分で動く画面が立ち上がります。
実データ・実コピー・実際の画面遷移で「本当に使えるか」をその場で検証できます。
動くものを見せて合意できるので、最終回のBefore→Afterデモにそのまま使えます。
進め方はシンプルです。要件の骨格をAIに渡して動くHTMLを出させ、担当する問題の当事者になりきって触り、引っかかった所を「ここはこうしたい」と自然な言葉で直していく。実データや画面間のつながりまで作り込んだら、各自の画面を横に並べる。それだけで、販売管理システム全体のTo-Beが目の前にそろい、最終回ではそれが「動く提案物」になります。
最終回は、依頼主に向けた10分のリレー提案です。Before実演 → 本質課題と根拠 → 各自が担当した問題のAfterデモ → 構成と効果。「列を追加しました」ではなく、「御社の詰まりはここで、こう解けます。動くものがこちらです」という提案に変わります。
動くプロトタイプを含む6点の成果物に加えて、講座で使った要件テンプレート・プロンプト・チェックリストを “自社の型 v1” として自分たちの言葉で書き直して持ち帰ります。翌週に届く本物の改修依頼で、同じ流れをもう一周できる状態がゴールです。

「自社でFDE組織を立ち上げたい」「まず何から始めればいいか相談したい」── プログラムの全体像と、御社に合わせた進め方を、個別にご案内します。