3行でわかる エンジニアのPdM視点

  • PdM視点=「なぜ・何を作るか」を問う視点。「どう作るか」の実装力と対になる、作る前の判断の力。
  • AIで「作る」が速く・安くなり、希少になるのは「何を作るか」を決める人。だから上流に出る価値が上がる。
  • 実装はやめなくていい。実装力に「決める力」を足した先にFDEがある。第一歩は、要件が固まる前の打ち合わせで「なぜ作るのか」を問うこと。

なぜいま、エンジニアにPdM視点が要るのか?

いまエンジニアにPdM視点が要るのは、生成AIによって「実装」の価値が相対的に下がったからです。コードを書く、画面を組む、テストを通す——かつて時間と技術を要した「どう作るか」が、急速に誰でも手の届くものになりました。その結果、希少になるのは「作れること」ではなく、「何を作るか」を決められることです。

「作る」が速く・安くなるほど、価値の重心は上流に移ります。言われたものを作るだけでは差がつきにくくなり、「そもそも何を作るべきか」を顧客と決められる人が貴重になります。実装ができるエンジニアが、ここに一歩出られると、代わりのきかない存在に近づきます。この構造は、受託開発の単価という形でも表れます。詳しくは生成AIで受託開発の単価は下がるのか?をご覧ください。

PdM視点とは、具体的に何か?

PdM視点とは、「なぜ作るか(Why)」「何を作るか(What)」「誰のためか(ユーザー)」を問う視点です。手段である「どう作るか(How)」の前に立ち、目的と対象、そして使う人を見極めます。実装力が「どう作るか」を担う力なら、PdM視点は「なぜ・何を作るか」を担う視点です。

エンジニアがFDEへ拡張する図。左に『エンジニア(起点)』として実装力=どう作るかが青で置かれ、中央に『+PdM視点(なぜ・何を・誰のため)』をミントで足す。右に『FDE(到達点)』として実装力(青・そのまま土台)に+決める力(ミント・なぜ何を作るか)が加わる。実装はやめず視点を足す、という拡張を示す。
エンジニアが起点。実装力はやめず、そこに「なぜ・何を作るか」を問うPdM視点を足した先にFDEがある。

分かりやすいのは、顧客が「この画面が欲しい」と言ってきた場面です。実装視点だけなら、言われた画面をそのまま作ります。PdM視点があると、「本当に必要なのは画面ではなく、別の仕組みかもしれません」と問い直せます。要望の奥にある「解くべき課題」まで遡って、作るものを顧客と決め直す。この問い直しが、PdM視点の中身です。とりわけ起点になる「なぜ作るか」を問う考え方は、FDEのWhy思考で掘り下げています。

エンジニアはどうPdM視点を身につけるのか?

PdM視点は、本を読んで型を知るだけでは身につきません。要件が固まる前の打ち合わせに同席し、「なぜそれを作るのか」を実際に問う経験を通して育ちます。正解の決まっていない問いに、現場で向き合うことでしか磨かれないからです。

最初から完璧に問い直せなくて構いません。顧客が「こう作ってほしい」と言ったとき、その場で「それは何のためですか」と一度立ち止まる。現場を見て、作るものを問い直す——この小さな一歩を、実案件で少しずつ重ねていきます。実装という土台があるエンジニアにとって、足りないのはこの「問う習慣」だけ、ということも少なくありません。「何を作るか」を決める力そのものの中身は、UX設計力とは?で整理しています。

第一歩は何をすればいいのか?

第一歩は、転職でも資格取得でもありません。次の案件で、いつもより一歩前に出ることです。仕様を受け取る側ではなく、課題を一緒に見つける側に回る——その立ち位置の小さな変化が、PdM視点を持つはじまりになります。

エンジニアがPdM視点を持つとは、「どう作るか」の前に「なぜ・何を作るか」を問えるようになること。それがFDEへの確実な第一歩だ。

仕様の受け手から、課題の発見者へ。この一歩を積み重ねた先に、実装力と「決める力」を併せ持つFDEがあります。何が課題で何を作るべきかを見極める力をさらに伸ばす道はUX設計力とは?で、FDEになるまでの全体像はFDEになるにはで続けて確認できます。