3行でわかる FDEの育て方
- FDEに必要なのは2つの設計力=UX設計力(何を作るべきか)×AI設計力(再現可能に動かす)。
- 既存のAI投資はAI設計力の土台。多くの場合、足りないのはUX設計力。
- 育成は研修→伴走→自走の段階。一気に完成形を狙わない。
FDEは「採用」より「育成」が向いているのはなぜか?
FDE人材を「採ってくる」のは、簡単ではありません。FDEは要件定義から実装まで一気通貫で担い、顧客の成果に責任を持つ役割です。そんな人材は採用市場でも希少で、採れたとしても、その一人に依存する組織は脆くなります。
一方で、FDEに必要な力の半分——実装力——は、多くのSIer・受託開発企業がすでに持っています。だからこそ、ゼロから採用するより、既存のSE・エンジニアを土台に育てる方が現実的です。海外のFDEも、最初から完成形で採用されているわけではなく、社内で育成された人材が現場で経験を積んでFDEになっていきます。
FDEに必要な「2つの設計力」とは?
FDEが顧客現場で発揮しているのは、大きく2つの設計力です。育成は、この2つを軸に設計します。
UX設計力──「何を作るべきか」を決める力
顧客と一緒に「何を作るべきか」を決められる力です。ユーザーリサーチ、体験設計、現場観察の技術が含まれます。これが欠けると、「使われないキレイな設計」になってしまいます。
AI設計力──「決めたものを再現可能に動かす」力
生成AIの活用設計、データ設計、プロンプト設計の技術です。これが欠けると、「速く作れるが刺さらない実装」になります。多くのSIerがこれまで投資してきたAI活用は、この力の土台です。
2つの設計力を、どう育てるのか?
育成は、一気に完成形を狙わず、3つの段階で進めます。
段階1:研修(型を学ぶ)
架空のモデルケースを題材に、2つの設計力の型を学びます。機密や社内調整を気にせず、型の習得に集中できるのが利点です。学んだ型は、そのまま自社の案件に持ち帰れます。
段階2:伴走(実案件で使う)
学んだ型を実案件で使ってみます。最初はうまくいかない部分もあるため、外部の伴走者が並走し、現場での判断を一緒に積み上げます。
段階3:自走(組織で再現する)
伴走なしでも回せる状態を目指します。複数の人が同じやり方で顧客の現場に立て、一人が抜けても次の人が同じ位置に立てる。この再現性が、組織としてのFDEを成立させます。
自社に足りない設計力を、どう見極めるか?
育成の出発点は、「自社に足りないのはどちらの設計力か」を見極めることです。次の2つの問いで点検してみてください。
- 自社のエンジニアは、顧客と一緒に「何を作るべきか」を決められる経験を、組織として持っているか(UX設計力)
- AI設計力と並ぶUX設計力を、研修・伴走の中で育てる仕組みがあるか
多くの会社は、AI設計力にはすでに投資しており、欠けているのはUX設計力の方です。その場合、足りない半分を組織として加えることが、FDE育成の中心になります。
FDE育成、今日からできる一歩
育成の第一歩は、大きな研修制度を作ることではありません。次の案件で一人、要件が固まる前の打ち合わせに同席し、「なぜそれを作るのか」を顧客と一緒に考える経験をしてもらうことです。その経験の振り返りが、UX設計力を育てる最初の教材になります。何から育てればいいか迷ったら、現状を一緒に整理するところからご相談ください。